神宮外苑地区市街地再開発計画 神宮外苑まちづくりにかかる住民説明会に参加しました。
我々有志の会は港区民ということで14:00の回へ。
130人弱の方がお越しになっていたようです。
事業者側の出席者は、事業者の取りまとめである三井不動産、明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠、コンサルタントとして日建設計ほか。
前半30分で、
昨年9月の東京都の要請を受けて一年越で発表された「樹木保全の見直し案」に対する説明ということで、
前半はプロジェクト動画の投影につづき、見直し案の説明が行われました。
イチョウの根茎調査については、さらに三井不動産鈴木氏より詳細な説明がありました。
残りの1時間半は質疑応答の時間となりました。
16:00終了予定時間でも挙手の手は下がらず10人以上手を挙げている中、延長を求める声が上がるなど紛糾する場面もあり熱量高い時間となりました。
質問は全て開発への疑問、批判でした。
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主なものは以下(有志の会代表加藤からの質問はピンクマーカー)
質問: 野球場の地下は何メートル掘るのか?
- 回答: 現状、地下に施設を作る計画なく、3メートルから4メートル程度の掘削が必要。
質問: 港区等にある18本のイチョウ並木はどのように扱われるのか?
- 回答: 今回の樹木の本数には「移植」に含まれる。
質問: 施設の更新の費用がないというのなら財務状況を公表すべきではないか?
-回答:明治神宮が宗教法人であり、宗教法人法第25条により、広く一般への財務諸表の公開は行わないが、特定の条件を満たす利害関係者には閲覧を許可。
- 条件: 閲覧を請求できるのは、利害関係者に相当する者(総代に限定)、正当な理由を持つ者、不当な目的で利用しない者。
質問: 祖父の代から崇敬会に入り世話役まで務めた(なぜだか昨年世話役が解散)100年間守ってきたのに3本の高層ビルが建つ計画に加わり裏切られた気持ちである。恥ずかしいと思わないのか。
-回答: 公益事業や宗教活動を行っており、34業種の収益事業を法律に基づき営んでいる。外苑の事業が全体の収益の約8割を担い、その中でも神宮球場の収入が約7割を占める。神宮球場の更新が将来的に必要であり、町づくり全体の中で行うことで、収益事業の役割を果たす。費用捻出のため建物の高層化が必要であると考えている。
質問: 1952年に明治神宮さんがこの土地を譲り受けられた時に、 交わした4つの約束。
この開発の大義がこの4つの約束にかなってると思うか、お聞かせいただきたい。
-回答:①国民が公平に使用できる②アマチュアスポーツの趣旨にのっとり、使用料・入場料を極めて低廉に③施設を絶えず補修する経費の見通しがある④民主的運営をする
野球場の学生野球の使用について、この30年間、値上げもしておらず非常に低廉な額で学生野球が使用。また、年間スケジュールは各団体と協議をした上決めており民主的。費用の見たてがあることと反するということは解釈が違うと考える。
質問: なぜ名勝指定を受けないのか
-回答:港区の教育委員会とも話しているが、四列のイチョウ並木を守っていこうというアプローチの違い。文化財保護という観点ではなく、こちら側に座っている一同事業者しては、町づくりというプロセスの中で、 四列のイチョウ並木を保全する。
質問: 残り3事業者に問う、開発の大義は。
→JSC 建物の年数は40年程度、修復とユニバーサル仕様の改修を追加することで十分使用可能であるにもかかわらず、ラグビー施設としてのスペックを落としてまで本開発に参画するのはスポーツ振興の目的を逸脱している本開発に参画する大義を伺いたい。
→伊藤忠「今のままでは条例上今より低い社屋しか建てられないため」とおっしゃっているので、大義は社屋を大きくして利益を生み出すことであることは社長自ら株主総会で仰った通り。この解釈で間違いないか。
→三井不動産は地権者でもない。開発に関わる大義は何か?現在の都市部特に東京都のビルの空室状況と、今後の日本の人口推移予想を踏まえて、ここから3本の高層ビルの建築を行うことにどのような大義があるのか。以上それぞれお答えください。
-回答:
JSC→老朽化をはじめとした 様々な課題を解決しながら、工事による競技の中断期間ができるだけ短くなるように段階的な建て替えをする。
スペックダウンについてはそのように考えておらず、座席数が現行25,000から収容員数として10000減ることは、 競技運営上の必要機能や本コースの確保、座席寸法(これは現状すごく狭いというお話をよくいただく)は広く、サイドライン、客席からの見え方は現状に近い形の見え方を確保、スムーズな移動の確保、 安全性を配慮した結果、約1.5万人という規模設定。 座席数は減少するが、現状利用実態としては、ラグビーにおける年間70日ほど、 入場者が1万人を超えるような試合は少ない。なお、数万人規模の観戦者が見込まれるような試合は、現在でも国立競技場で開催されている。
伊藤忠→東京本社は築43年を超えており、建替えることによって、資産価値の最大化と防災性の向上を目指していきたい
三井不動産→公的な資金を受けずに、民間の資本で再整備していきたいということで、今回我々事業者の方でやっている。一部、明治神宮様から借地、ここに我々はビルを建てさせていただく。人口減少と空室率について、我々は今まで町づくり事業会社として実績があり、しっかりとしたビルを作り、しっかりとしたテナントさんに入っていただくということが可能。つまり、人口減少であっても、空室率が上がってくる中でもしっかりとしたビルを作れば、しっかりと借地を支払っていける判断。
土地の所有に関しては直したい、一部受益権という形で保有
質問: 明治神宮はどれだけ何を隠したいのか、三井不動産と伊藤忠は何を儲けたいのか、そのバランスが見えない限り、この問題を公共性の高いものとして進めるのには納得が得られない。
-回答:隠すつもりはない、開示していく。全体の総事業については3490億。個別の開示はできない
質問: 東京都、新宿区、港区、こちらの認可などを与えた側が参加してないことが大きな疑問。ただのオブザーバーではなく、ちゃんと監視して、どれだけバランスを取った公共のものになるかということを見とることが必要。事業者と地域住民との対立の構図だけで進めるというのはおかしい。東京都、港区、新宿区から回答いただきたい。
-回答:この後すぐに東京都に報告する
質問: 国連から人権を侵しているという指摘、イコモスから何度も事業者と話したいという申し出があったが何も答えない。そういうことで不信感は募る。説明を一方的ではなくて、対談をする形で求める。
-回答:ウェブサイトのQAもやりとりの一つ。それが一方的な感じがするということであればご意見としては受け止める。イコモスに関して、昨年の9月29日にリストを出している。
質問: 第1回の根拠調査は私も確認している、第2回の根拠調査は本当にやったのか
-回答:詳しくはHPに写真付きで掲載
質問:樹木については、本数や緑地面積ではなく体積で見るべきでは? 見るべきでは?
-回答:現状346000㎥、完成後331000㎥。これは改善策の前の数字、これまたしっかり計算を行う
質問:住民説明会という場で会社名と名字だけ。実際に皆さんがどのような職責でこの事業に関わっておられるか、専門性をしっかり示すことが住民に対する信頼感であったり重みを示す。合意形成を図るという意味ではマスト。
-回答:ビルディング事業部グループ長。このプロジェクトの責任者。
質問:百年の森を守るということがおそらく、三井不動産の百年を守るということなのではないか?
-回答:まったくそのようなことではない
質問: 秩父宮について、現在の収容人員から1万人減らす、現実的ではない。
2035年ラグビーワールドカップをまた再招致しようという話。そのためには3万人ぐらい収容しないと会場として採用されない。つまり結局収益を上げるためにコンサートとかイベントを開くためではないか?
-回答:屋根付きになり、席数も広がり、寒い時期、雨でも濡れずに観戦できる。ワールドカップの試合も国立競技場を併用して行う。今回PFI事業により民間事業者に運営をお願いする、その中でコンサート等もしていく提案あり。ラグビーの試合日数が減らないことは条件。
質問: 工事は遅延しているはず、今後の計画の更新と都度説明会を行うか
-回答:これから精査していく
質問:野球場の外野席が減るが?
-回答:球場の詳細はこれから。ご心配の声も非常に強いと認識している。まずはこの18.3まではセットバックするが今後もきちんと公表する。
以上
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説明会後は、当初新宿区のみ取材(別室での傍聴に限る)可能であったことから、港区民の受け止めを聞きたいという多くの報道陣の皆様に対して囲み取材をお受けしました。
引き続き有志の会として、専門家との対話を必須として、
今回範囲に含まれなかった方々、施工許可者である東京・港・新宿の行政も含めた再説明会を求めて活動を続けていきたいと思います。
有志の会として予定していたその他の質問は以下の通り
1) パブリックコンサルテーションについてお尋ねします
かねてより東京都知事より事業の進行については「都民の理解と共感を得るように」と要請されていると思います。日頃から丁寧な説明をプロジェクトサイト上で行なっているとのことですが、それならなら、動画は事前に見せておけばいいだけ。なぜ今日まで流す必要ある。時間の無駄。それより対話をすべきではないでしょうか。
さて今回の住民説明会のあり方についてお尋ねします。
開発対象区は明治天皇の遺徳を偲び、国民の手で作られた日本初の都市公園です。途中戦後に明治神宮さんに譲渡された経緯、当時に交わした4つの約束
① 国民が公平に使用できる
② アマチュアスポーツの趣旨にのっとり、使用料・入場料を極めて低廉に
③ 施設を絶えず補修する経費の見通しがある
そして、④民主的運営をする
これを踏まえても、決して民有地の開発ということはできず、国民全体がステークホルダーであると言っても過言ではないです。
その上で、今回対象範囲を行政の要請のあるなしで区切った意図についてお尋ねします。
また、申し込みについても、当初は近隣のお年寄りを寄せ付けないかのようなインターネットでの申し込み、さまざまな団体の要請を持って電話受付を追加されたようですが、
加えて途中個人情報を第三者に渡すことへの同意をしなければ質問に進めないなど、
広く理解と共感を得る姿勢を感じません。
なぜ市民や専門家との対話をできるだけ退けるのか、
説明会は開催した既成事実だけでこの再開発を押し切ろうとしていないか、その理由をお聞かせください。(補足:この大規模な開発に関わらず、個人施工で申請していることで説明会の開催は任意になっている。)
2)港区道1107号上の18本イチョウについてお尋ねします
武井元港区長から港区道1107号上18本いちょうの保全策を早期に示すように要請されたのが昨年9月。当然今回の保全案に入ると思っていたが入っていない。
新計画の野球場の真下になる場所で、港区道を付け替えて18本を確実に保全しなければ、その先の開発が一切進まない場所であるが、1年間もの時間をかけて現状どの程度保全の見立てが立っているかお示しください。
また今後この区道を敷地内で付け替える計画があると思いますが、次は土木課を経て区議会と確認しています。そのスケジュールと詳細な手続きの段取りもお知らせください。
3)専門家との対話についてお尋ねします
イコモスからはヘリテージアラート、国連人権理事会からは「住民とのコンサルテーション不足とそれによる人権侵害の恐れ」を指摘されている。事業者はHPで即時否定されていたが、その後の国連人権理事会総会でもその報告を変えなかったことを踏まえ、単なる都市の再開発ではないことは国内外が認めるところです。
さて、そのような中、日本イコモスからは極めて科学的な論述を持って、環境アセスメントの不備が30回近く指摘されていますが、それに対して今まで対面で対話しない理由をお聞かせください。
イコモスだけでなく、建築、景観、環境、開発の進め方に至っては日弁連まで指摘をしているわけですので、住民との対話はもちろん、各専門家との対話を見ることで私たち市民はこの開発の未来にわたる心配点を払拭できると考えています。
以前JSCに伺ったところによると、個別の団体の申し入れには答えないとのことでしたが、イコモスは国連の諮問機関であり、個別の団体と切り捨てるに当たらないものだと考えます。イコモス参加国満場一致の賛成を持って発されたヘリテージアラートを無視して、今後たとえば、日本、東京都から世界遺産の申し入れがあっても受け入れられない、そういった日本の価値や信頼を既存する危惧があるにも関わらず、そのような態度を取られる理由をお示しください。
4)名勝指定についてお尋ねします
明治神宮さんにお答えいただけたらと思います。
かねてより港区の住民からなる「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」からは銀杏並木の名勝指定について要請が行われ、議会でも清家あい現区長が区議の時点で議会質問しています。また、衆議院文部科学委員会において船田衆議委員議員からの名勝指定すべきとの答弁に対して、文化庁は「文化庁が設置した名勝等の専門家による検討会において、近代の庭園・公園に関する研究として平成24年にまとめた報告書において、今後保護措置を充実させる必要性が高いと認められる重要事例として評価されている。今後、地元の港区や新宿区などから相談がありましたら、文化庁として丁寧に対応していきたい」と答弁されています。港区教育委員会でも所収者である明治神宮さんとの調整が行われていると聞いています。
146本のイチョウを確実に守るこれ以上の手段はないはずですが、所収者本人の明治神宮さんがこれに対して前向きに応じない理由をお答えください。
上記はプロジェクトサイトに寄せたいと思います。
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